Japanische Klassiker mit Furigana
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
Lesen Sie 妖虫 (ようちゅう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 120.290 Zeichen · 239 Bildschirme
わたくし、さっきから、ずっと戸口の方ばかり向いていたのですけれど」
「おかしいな。ではここから覗いたんじゃなかったのかしら」
守は問題の窓の所へ歩いて行って、すぐその前の板塀についている潜り戸をガタガタ云わして見たが、内部からのに異状はなかった。すると、曲者は塀をのり越えて出入りしたとでも考える外はないのだが、いくら器械体操の名手でも、何か足場がなくては、この高い塀を越えることは出来ない。
「お前、珠子の叫び声を聞いて、すぐにこの庭へ飛び出したのかい」
女中を顧みて訊ねると、
「ハイ、すぐにでございます」
「誰もいなかったんだね」
「ハイ」
「この塀をのり越した奴を、お前気づかなかったんじゃあるまいね」
「イイエ、そんなこと決してありません。いくら暗くっても、塀をのり越すのが分らない筈はございませんわ」
この女中はなかなかしっかり者であったから、これらの言葉は凡て信用して差支なかった。
又、そのあとで、手提電燈を取寄せて、窓の外の地面を調べても見たけれど、そこは一面に固い土で、足跡らしいものも発見出来なかった。
こうしてあらゆる通路が否定されて見ると、結局、湯殿の窓に近づいたものはなかったのだと考える外はない。