Japanische Klassiker mit Furigana
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ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 孤島の鬼 (ことうのおに) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 181.795 Zeichen · 359 Bildschirme
「ね、話しましょうよ。私何だか小さかった時分のことが話して見たくなったのよ」
彼女が低い透き通った声でこんなことを云った時、私は已に肉体的な激しい焦慮を通り越して、却って、妙にすがすがしい気持になっていた。
「アア、それがいい」私はよい所へ気がついたと云う意味で答えた。
「話して下さい。君の身の上話を」
彼女は身体を楽な姿勢にして、すみ切った細い声で、彼女の幼少の頃からの、不思議な思出を物語るのであった。私はじっと耳をすまして、長い間、殆ど身動きもせずそれに聞き入っていた。彼女の声は半ばは子守歌の様に、私の耳を楽しませたのである。
私は、それまでにも又それから以後にも、彼女の身の上話は、切れ切れに、度々耳にしたのであったが、この時程感銘深くそれを聞いたことはない。今でも、その折の彼女の一語一語を、まざまざと思い浮べることが出来る程である。だが、ここには、この物語の為には、彼女の身の上話を悉くは記す必要がない。私はその内から、後にこの話に関係を生じるであろう部分丈けを極く簡単に書きとめて置けばよい訳である。
「いつかもお話した様に、私はどこで生れた誰の子なのかも分らないのよ。