Japanische Klassiker mit Furigana
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ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
Lesen Sie 孤島の鬼 (ことうのおに) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 181.795 Zeichen · 359 Bildschirme
紙つぶてで事の仔細を告げると、諸戸から、勇ましい返事が来た。
「彼等は一週間程帰らぬ筈だ。彼等が何をしに行ったかも分っている。もう邸の中には手強い奴はいない。逃げるのは今だ。助力を頼む。君は一時間ばかりその岩蔭に隠れて僕の合図を待ってくれ給え。僕がこの窓から手を振ったら、大急ぎで表門へ駈けつけ、邸内を逃げ出す奴があったら引捉えてくれ給え。女と片輪ばかりだから、大丈夫だ。愈々戦争だよ」
この不意の出来事の為に、私達の宝探しは一時中止となった。私は諸戸の勇ましい手紙に胸を躍らせながら、窓の合図を待ち構えた。諸戸の計画がうまく行けば、私達は間もなく、久し振りで口を利き合うことが出来るのだ。そして、私がこの島に来たときからあこがれていた秀ちゃんの顔を、間近に見、声を聞くことさえ出来るのだ。この日頃の奇怪なる経験は、いつの間にか、私を冒険好きにしてしまった。戦争と聞いて肉が躍った。東京にいた頃の私には、思いも及ばなかった気持である。
諸戸は親達と戦おうとしている。世の常のことではない。彼の気持はどんなだろうと思うと、その刹那の来るのをじっと待っている私も、心臓が空っぽになった様な感じである。