Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あひるとさる
寺田寅彦随筆集 第五巻
寺田 寅彦
Lesen Sie 寺田寅彦随筆集 第五巻 (あひるとさる) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 194.515 Zeichen · 389 Bildschirme
雨のときはテントの屋根から集めるという。
晴夜が三晩もあれば、観測は終了するはずであるが、ここへテントを張ってから連日の雨か曇りでどうしても星が見えない。しかしいつなんどき晴れるかもしれないから、だれか一人は交代の不寝番で空を見張っていなければならない。燈火が暗いから読書や書きものもぐあいがよくない。ラジオを聞いたらいいではないかといったら、電池を消耗するから時報と天気予報以外は聞かないのだという。これがアメリカあたりの観測隊であったら、おそらく電池ぐらいかなり豊富に運び上げて、その日その日のラジオで時を殺し、そうしてまたおそらくポータブルのジャズでステップを踏み、その上にうまいコーヒーで午後の一時間を陽気に朗らかに楽しむではないかと思う。
しかしわが貧乏国日本の忠実な少壮学者は貧乏な大学の研究所のために電池のわずかな費用を節約しつつ、たくあんをかじり、渋茶に咽喉を潤してそうして日本学界の名誉のために、また人間の知恵のために骨折り働いているのである。
ろうそくをはい上がって行く一匹の足長蜘蛛がある。意外な人間の訪客に驚いているであろう。おそらく経験のない蝋のなめらかな表面には八本の足でも行き悩んでいるようであった。