Japanische Klassiker mit Furigana
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ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)
山の憶い出 上
木暮 理太郎
Lesen Sie 山の憶い出 上 (ふえふきがわのじょうりゅう(ひがしさわとにしさわ)) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 284.014 Zeichen · 565 Bildschirme
水に臨んだ岩壁の一箇所に、木を組んで七、八尺程河に迫り出したかけはしめいたものがある。二週間許り前に劒沢を目指して出発した近藤君が目的の沢が通れなかったので、仙人谷を下って案内者の平蔵に黒部を泳ぎ渡らせたという場所に違いない。実際それから下は河の落差が急に加わって、水勢一段と激しく、白く泡立つ大うねりが仙人谷の出合附近で巨岩に扼せられ、其両側を渦まき流れている。若し止むなく河を泳ぎ渡るものとすれば、其外に適当と想われる場所はないのである。此附近は黒部川の河身が甚しく屈曲している所で、左右から突出した山の鼻づらをこづきながら、不恰好な弓字状をなして、岩崖の底深く一条の活路を開いている。椈やシデ、槭などの闊葉樹が岩の斜面にしっかりと根を下して、緑の蔭を翳している木の間伝いに、どこからともなく大嵐の吹きすさぶに似た音が響いて来るが、この尾根の高所に居てさえ、河身を縦観し得るのは、僅に其あたり数町の間に過ぎない。
尾根に立った儘三十分余を眺望に費して、いざ谷に下ろうとする時、助七から「旦那方これからどうするね」と声をかけられてハッとした。どうするもこうするもない。