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Japanische Klassiker mit Furigana

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へいぼん

平凡・私は懐疑派だ

二葉亭 四迷

Lesen Sie 平凡・私は懐疑派だ (へいぼん) von 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.548 Zeichen · 161 Bildschirme

Aozora Bunko

其時女の素性も始めて知ったが、当人の言う所は皆虚構だった。しかし其様な事を爰で言う必要もない。止めて置く。

で、生来始て稍真面目になって再び筆硯に親しもうとしたが、もう小説も何だか馬鹿らしくて些とも書けない。泰西の名家の作を読んで見ても、矢張馬鹿らしい。此様な心持で碌な物が出来る筈もないから、評判も段々落ちる、生活も困難になって来る。もう私もシュン外れだ。此処らが思切り時だろうと思って、或年意を決して文壇を去って、人の周旋で今の役所へ勤めるようになったが、其後母の希望を容れて、妻を迎え、子を生ませると、間もなく母も父の跡を追って彼世へ逝った。

これが私の今日迄の経歴だ。

つくづく考えて見ると、夢のような一生だった。私は元来実感の人で、始終実感で心を苛めていないと空疎になる男だ。実感で試験をせんと自分の性質すら能く分らぬ男だ。それだのに早くから文学に陥って始終空想の中に漬っていたから、人間がふやけて、秩序がなくなって、真面目になれなかったのだ。今稍真面目になれ得たと思うのは、全く父の死んだ時に経験した痛切な実感のお庇で、即ち亡父の賜だと思う。彼実感を経験しなかったら、私は何処迄だらけて行ったか、分らない。