Japanische Klassiker mit Furigana
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へいぼん
平凡・私は懐疑派だ
二葉亭 四迷
Lesen Sie 平凡・私は懐疑派だ (へいぼん) von 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.548 Zeichen · 161 Bildschirme
私は其面を凝と視ていた。すると、何時の間にか母が側へ来ていて、泣声で、「息を引取る迄ね、お前に逢いたがりなすってね……」というのが聞えた。私はふッと目が覚めた、目が覚めたような心持がした。ああ、父は死んでいる……つい其処に死んでいる……骨と皮ばかりの痩果てた其死顔がつい目の前に見える。之を見ると、私は卒然として、「ああ済なかった……」と思った。此刹那に理窟はない、非凡も、平凡も、何もない。文士という肩書の無い白地の尋常の人間に戻り、ああ、済なかった、という一念になり、我を忘れ、世間を忘れて、私は……私は遂に泣いた……
六十一
後で段々聞いて見ると、父は殆ど碌な療養もせずに死んだのだ。事情を知らん人は寿命だから仕方がないと言って慰めて呉れたけれど、私には如何しても然う思えなかった。全く私の不心得で、まだ三年や四年は生延びられる所をむざむざ殺して了ったように思われてならなかったから、深く年来の不孝を悔いて、責て跡に残った母だけには最う苦労を掛けたくないと思い、父の葬式を済せてから、母を奉じて上京して、東京で一戸を成した。もう斯う心機が一転しては、彼様な女に関係している気も無くなったから、女とは金で手を切って了った。