Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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へいぼん

平凡・私は懐疑派だ

二葉亭 四迷

Lesen Sie 平凡・私は懐疑派だ (へいぼん) von 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.548 Zeichen · 161 Bildschirme

Aozora Bunko

が聞える。

忽ちドタドタドタと椽側を駈けて来る音がする。下女の松に違いない。後からパタパタと追蒐けて来るのは、雪江さんに極ってる。玄関で追付いて、何を如何するのだか、キャッキャッと騒ぐ。松が敵わなくなって、私の部屋の前を駈脱けて台所へ逃込む。雪江さんが後から追蒐けて行って、また台所で一騒動やる中に、ガラガラガチャンと何かが壊れる。阿母さんが茶の間から大きな声で叱ると、台所は急に火の消えたように闃寂となる。

私は、国に居る時分は、お向うのお芳ちゃん――子供の時分に能く飯事をして遊んだ、あのお芳ちゃんが好きだった。お芳ちゃんは小さい時には活溌な児だったが、大きくなるに随れて、大層落着いて品の好い娘になって、私は其様子が何となく好きだったが、雪江さんはお芳ちゃんとは正反対だ。が、雪江さんも悪くない、なぞと思いながら、茫然机に頬杖を突ている脊中を、誰だかワッといってドンと撞く。吃驚して振返ると、雪江さんがキャッキャッといいながら、逃げて行くしどけない後姿が見える。私は思わず莞爾となる。

莞爾となった儘で、尚お雪江さんの事を思続けて、果は思う事が人に知れぬから、好いようなものの、怪しからん事を内々思っていると、茶の間の椽側あたりで、オーという例の艶のある美い声が聞える。