Japanische Klassiker mit Furigana
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へいぼん
平凡・私は懐疑派だ
二葉亭 四迷
Lesen Sie 平凡・私は懐疑派だ (へいぼん) von 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.548 Zeichen · 161 Bildschirme
三十六
前にも断って置いた通り、私は曾て真劒に雪江さんを如何かしようと思った事はない。それは決して無い。度々怪しからん事を想って、人知れず其を楽しんで居たのは事実だけれど、勧業債券を買った人が当籤せぬ先から胸算用をする格で、ほんの妄想だ。が、誰も居ぬ留守に、一寸入らッしゃいよ、と手招ぎされて、驚破こそと思う拍子に、自然と体の震い出したのは、即ち武者震いだ。千載一遇の好機会、逸してなるものか、というような気になって、必死になって武者震いを喰止めて、何喰わぬ顔をして、呼ばれる儘に雪江さんの部屋の前へ行くと、屈んでいた雪江さんが、其時勃然面を挙げた。見ると、何だか口一杯頬張っていて、私の面を見て何だか言う。言う事は能く解らなかったが、側に焼芋が山程盆に載っていたから、夫で察して、礼を言って、一寸躊躇したが、思切って中へ入って了った。
雪江さんはお薩が大好物だった。私は好物ではないが、何故だか年中空腹を感じているから、食後だって十切位はしてやる男だが、此時ばかりは芋どころでなかった。切に勧められるけれど、難有う難有うとばかり言ってて、手を出さなかった。