Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ひらがげんないとりものちょう

平賀源内捕物帳

久生 十蘭

Lesen Sie 平賀源内捕物帳 (ひらがげんないとりものちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.946 Zeichen · 34 Bildschirme

Aozora Bunko

「美濃清、御用だ」

件の男は、げッ、と息をひいて、つんのめるように闇雲に駈け出した。と見るうちに、もやい合った夏草に足を取られて俯伏せにどッと倒れた。

同体になって一人は肩、一人は足。グイッと押えつけておいて、

「じたばたするねえ、ももんがあ奴」

「足掻きやがるな、経師屋」

男は、歯軋りをして、

「畜生ッ、桝落しにかけやがったか」

ちえッ、と舌を鳴らすのを引起して顔を見ると、美濃屋清吉。……

肩を押えたのは、北番所の土州屋伝兵衛。足を掴んだのは、南番所の戸田重右衛門だった。

薪割りから水汲みと、越後から来た飯炊男のように実を運んでも、笹の雪、撓うと見せて肝腎なところへくるとポンと撥ねかえす。美濃清も愚痴な男ではないのだが、もう抜きも差しもならない恋地獄。祭礼の酒に勢いを借りて最後の手詰めの談判をして見たがどうにもいけない。定太郎のことでいっぱいで、あなたのことなんぞは思って見る暇もないという愛想尽かしだった。

定太郎がいるばっかりにと思いつめたら、もう何を考える余地もない。どんなことがあったって里春を生きたままでは定太郎に渡さねえ。

親父が死ぬときに、そっと囁いた象の後脚のからくり。