Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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げんじゅつてんまたろう

幻術天魔太郎

野村 胡堂

Lesen Sie 幻術天魔太郎 (げんじゅつてんまたろう) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.616 Zeichen · 90 Bildschirme

Aozora Bunko

虎吉は笛をやめて、牢格子にとびつきました。

はためくいなずまの光をまつまでもなく、やさしい声はまぎれもなく泉田筑後の妻――お千代の母親の操です。

「やはり虎吉、どうしてここへ?」

「まってください、すぐお助けしますから。ところで旦那さまはじめ店の人たちは?」

「ここは私だけ、番頭さんたちは、となりの牢にいるはずです」

「旦那さまは?」

「こまったことに、それがわかりません――たぶん、侍牢かと思いますが」

「ともかく牢をあけましょう――私は駿河太郎、今は天魔太郎と申します」

天魔太郎はそばへよると、とってきたカギで、思いのほかかんたんに格子をひらき、操を雨風のなかにつれだしました。

「お、お母さま」

「お千代か、おまえまで、こんなところに」

手をとり合ってよろこぶ母娘を、月子に見張らせたまま、天魔太郎と虎吉は、つぎの牢格子を開いて、番頭以下、手代、子分衆まで、泉田筑後の屋敷の者を、ぜんぶすくいだしました。

「これだけの人数では、人目にたってどこへもゆけません。嵐がやんだら、すぐつかまってしまいましょう」

番頭は助けられながら二の足をふむのを、

「多勢ではいけない、一人、二人ずつべつべつに江戸橋へ行くのだ。