Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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げんじゅつてんまたろう

幻術天魔太郎

野村 胡堂

Lesen Sie 幻術天魔太郎 (げんじゅつてんまたろう) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.616 Zeichen · 90 Bildschirme

Aozora Bunko

怪人心外道人

空井戸の六尺下にはった網に手足をとられて、クモの巣にかかった虫のような、むだなあがきをつづけている駿河太郎は、ハシゴと槍とさし又におさえられて、苦もなく縛りあげられ、

「無念無念」

と月下の庭に引きだされたことはいうまでもありません。

怪人心外道人

大森の山の下、ぶきみな穴の中に、ひとりの隠者が住んでおりました。心外道人と人はよんでおりましたが、だれもほんとうの名を知ったものはなく、白髪童顔、ツルのごとくやせて、道衣だけが、いつでもまっ白なので穴居の人らしくない、すがすがしさと不気味さをかんじさせます。

「おねがいです。道人さま」

その穴の前、まっくろな土の上に両手をついて、ひとりの少女が、さっきからたんがんしておりました。年のころ十四、五、モモの花のつぼみのようなうつくしく、きよらかな少女ですが、道人は経机のまえに端座し、なにやら印をむすんで、一ことも口をきこうとしません。

「おねがいでございます、道人さま。兄がきょうの昼ごろには、この先の鈴ガ森ではりつけにされることになっております。……

どんなことをしても、それを助けなければなりません。――法力宏大で、この世にできないことのない道人さまときいて、わざわざたずねてまいりました。