Japanische Klassiker mit Furigana
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おもいちがいものがたり
思い違い物語
山本 周五郎
Lesen Sie 思い違い物語 (おもいちがいものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.840 Zeichen · 88 Bildschirme
いきなりこう云った者があった。例の原っぱのところであったが、不平の独り言を云いながら歩いていたので、泰三は不意をくらって「やあ」と快活におじぎをして振返って、それからむっとした。……すぐうしろに三人の若侍がいた、まん中の一人は高頬に傷痕のある、あの本多孫九郎であった。
「いまへんなことを云ったのはおまえさんたちか」
泰三は三人を眺め、その眼をにやにや笑っている孫九郎の上にとめた。
「聞えたかね」孫九郎が答えた、「――聞えたとすると悪かったが、三人でね、いま貴公のことについて話していたんだよ、聞かせるつもりじゃなかったんだがね」
「ああそうかい、おれはまたおれをからかったのかと思ったよ」泰三はしげしげと相手の顔を眺め、ぺっと脇へ唾をして、「――人相の悪いやつらだ、ろくなしゃっ面あしていやあしねえ、どうせ末は馬子か駕舁きだろう」
「おい待て、聞き捨てならんぞ」
孫九郎がどすのきいた顔で、凄んだ声をあげてどなった。歩きだした泰三は立停って、けろっとした顔で振返った。
「なんだい、なにか用かい」
「いまなんと云った、いまの言葉をもういちど云ってみろ」
「聞えたかい、そいつは悪かったな」