Japanische Klassiker mit Furigana
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おもいちがいものがたり
思い違い物語
山本 周五郎
Lesen Sie 思い違い物語 (おもいちがいものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.840 Zeichen · 88 Bildschirme
「私ですか、いいえ、べつに」
「こっちを向いてみろ、おまえなにか隠しているだろう」
「私がですか」彼はこっちを向かない、「――私はなにもしません。隠すことなんかありません、本当です、嘘なんかつきません、私は殿さまに……」
「殿にどうした、殿にどうしたというんだ」
「殿さまにいかんと云われたんです、こっちから決して喧嘩を売ってはいかん、これは固く禁ずるぞと云われたんです」
「――それで、……それでどうしたんだ」
「ですからつまり、私は、喧嘩なんぞ売りやしません、殿さまの仰しゃることは重いですからね、私は決して」
「おまえ額に瘤を出してるな」
右衛門は眼を光らせて、こっちを覗くように見た。泰三は顔をそむけ、いそがしく飯をかきこみながら云った。
「ええこれは、あれです、ちょいと転びまして、木の根があったもんですから、とっ拍子もないような処に大きな根っ子がありまして、あれはなんでしょうか、道路関係の事は普請奉行の係りでしょうか、それとも作事方の」
「おまえ喧嘩をしたんだろう」
「私がですか」泰三は心外なことを聞くものだという眼つきをした、「――私が喧嘩をしたと仰しゃるんですか、この私が、……どうして笑うんです津留さん」