Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
こいのでんしちろう
恋の伝七郎
山本 周五郎
Lesen Sie 恋の伝七郎 (こいのでんしちろう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.650 Zeichen · 60 Bildschirme
若者が半だの手桶だのを並べ、爼板を前に据えて魚を作っていた。彼は入って来た伝七郎を見ると満面を崩してようと叫んだ、「こいつは誂えたようだ、来てくれりゃあいいがと思っていたところだ、まあとにかく上ってくんねえ」「なにをしているんだ」伝七郎は刀をとって上ると、相手の前へどかっと気楽そうに坐った、「おっ、鰯だな」「鰯よ、こっちを酢にしてこっちを塩焼きにして、熱燗で一杯という趣向なんだ」「悪くない、おれもなにか手伝おう」「なにもうこれでおしめえだ、いいから坐っててくんな」「火はもう起ってるのか」「これからだ」「それじゃあそいつをおれが引受けよう、焜炉は台所だったな」「ああ炭は上げ蓋の中にある」よしと云って伝七郎は手早く袴をぬぎ着物をぬぎ、なんと半襦袢に下帯ひとつという、武士としてまことにいかがわしい恰好になって、しかし恐しく楽しそうに台所へ出ていった。
さて、二人がささやかな酒宴の仕度をしている間に、あらまし彼等のことを紹介しておくとしよう。まず伝七郎だが、彼はここ備後のくに福山十万石、安倍伊予守の家臣で、永井平左衛門という者の三男である、父の平左衛門は九百石の中老で、名誉心の強い