Japanische Klassiker mit Furigana
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ばしゃ
愛の挨拶・馬車・純粋小説論
横光 利一
Lesen Sie 愛の挨拶・馬車・純粋小説論 (ばしゃ) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.699 Zeichen · 78 Bildschirme
次の日、由良は眼を醒してから朝日の光りの中であたりの様子を見廻していると、急に長い年月の間花江と一緒に生活していたような気がして来て、これはもしこの次でも花江に逢ったら、もう今までのようには白白しくしていることも出来なくなって、また初めて彼女と逢ったときのようにまごまごしなければならぬであろうと思った。しかし、そういうことは考えようによっては花江との結婚をますます確実にしていく縛りとなるだけなのだから、由良もこれはいま急に油断をしてはもう逃げることも出来なくなりそうな気がして来て、それではなるだけ花江へ近づく自分の運命を狂わそうと骨折らなければおれなくなった。全くもし花江と結婚でもしなければならなくなって、彼女も自分もいつかは最後に夢殿村へ這入らなければならぬとしたら、親兄弟は勿論、親戚へまでも生涯迷惑をかけ通さなければならぬのだ。由良はそれからしばらくはまた学者のところへいくことをひかえていたばかりではない、もうそろそろ頭もよほど恢復して来たから、東京へひき上げる準備をしなければならぬと思って、花江のことも漸く心の中心へ近づけない工夫に成功し始めて来ると、或る夜、突然また由良はぱったり花江と出逢ってしまった。