Japanische Klassiker mit Furigana
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ばしゃ
愛の挨拶・馬車・純粋小説論
横光 利一
Lesen Sie 愛の挨拶・馬車・純粋小説論 (ばしゃ) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.699 Zeichen · 78 Bildschirme
そのときはもう外が真暗で、由良が散歩かたがた湯へ行こうとすると、丁度学者のところから夢殿村へ帰ろうとする花江と道の中央で出逢ったのだ。由良は花江と眼を合せると、思わずどちらも立ち停ったが、何もどちらも云うことがないのを感じると、そのまま二人はまた会釈をして行きすぎた。しかし、由良は花江が小腰をかがめて真暗な中を、提灯を下げてしょぼしょぼ一人歩いていくのを見ると、あれが自分の妻になる娘だったのかと思った。すると、由良は自然に胸がつまって来て、さきほどまで彼女につれなくしようと努力して来ただけに、一層もろく花江に吸いよせられると、すぐ彼女の後をふらふら追っていかざるを得なくなった。
「花江さん、花江さん。」
彼はそう後ろから呼ぶと同時に、もうこれは、うっかりすると自分も駄目だと思いながら、「こう暗くちゃいけませんから、そのあたりまでお送りしましょう。」と云った。
「いえ、いいんでございますの。道はよくあたくし存じているんでございますの。」
しかし、由良は花江と並んで歩いていきながら、ふと、ここまでの親切なら、恐らく今までだって、信者も花江にしたであろうし、その前の学者の弟子たちも幾度となくしたことであろうと思った。