Japanische Klassiker mit Furigana
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あるおんな
或る女
有島 武郎
Lesen Sie 或る女 (あるおんな) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.655 Zeichen · 406 Bildschirme
「お金がほしいからなの」
葉子は平気な顔をしてまた話をあとに戻した。そして独酌で杯を傾けた。倉地は少しどもるほど怒りが募っていた。
「それが悪いといっとるのがわからないか……おれの面に泥を塗りこくっとる……こっちに来い(そういいながら倉地は葉子の手を取って自分の膝の上に葉子の上体をたくし込んだ)。いえ、隠さずに。今になって木村に未練が出て来おったんだろう。女というはそうしたもんだ。木村に行きたくば行け、今行け。おれのようなやくざを構っとると芽は出やせんから。……お前にはふて腐れがいっちよく似合っとるよ……ただしおれをだましにかかると見当違いだぞ」
そういいながら倉地は葉子を突き放すようにした。葉子はそれでも少しも平静を失ってはいなかった。あでやかにほほえみながら、
「あなたもあんまりわからない……」
といいながら今度は葉子のほうから倉地の膝に後ろ向きにもたれかかった。倉地はそれを退けようとはしなかった。
「何がわからんかい」
しばらくしてから、倉地は葉子の肩越しに杯を取り上げながらこう尋ねた。葉子には返事がなかった。またしばらくの沈黙の時間が過ぎた。倉地がもう一度何かいおうとした時、葉子はいつのまにかしくしくと泣いていた。