Japanische Klassiker mit Furigana
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あるおんな
或る女
有島 武郎
Lesen Sie 或る女 (あるおんな) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.655 Zeichen · 406 Bildschirme
倉地は何か思案するらしくそっぽを見い見い耳を傾けていたが、やがて旅館に近くなったころもう一度立ち止まって、
「きょう双鶴館から電話で部屋の都合を知らしてよこす事になっていたがお前聞いたか……(葉子はそういいつけられながら今まですっかり忘れていたのを思い出して、少しくてれたように首を振った)……ええわ、じゃ電報を打ってから先に行くがいい。わしは荷物をして今夜あとから行くで」
そういわれてみると葉子はまた一人だけ先に行くのがいやでもあった。といって荷物の始末には二人のうちどちらか一人居残らねばならない。
「どうせ二人一緒に汽車に乗るわけにも行くまい」
倉地がこういい足した時葉子は危うく、ではきょうの「報正新報」を見たかといおうとするところだったが、はっと思い返して喉の所で抑えてしまった。
「なんだ」
倉地は見かけのわりに恐ろしいほど敏捷に働く心で、顔にも現わさない葉子の躊躇を見て取ったらしくこうなじるように尋ねたが、葉子がなんでもないと応えると、少しも拘泥せずに、それ以上問い詰めようとはしなかった。
どうしても旅館に帰るのがいやだったので、非常な物足らなさを感じながら、葉子はそのままそこから倉地に別れる事にした。