Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

あるおんな

或る女

有島 武郎

Lesen Sie 或る女 (あるおんな) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.655 Zeichen · 406 Bildschirme

Aozora Bunko

が静かに流れるように漂っていた。苔香園のほうから園丁が間遠に鋏をならす音が聞こえるばかりだった。

若さから置いて行かれる……そうしたさびしみが嫉妬にかわってひしひしと葉子を襲って来た。葉子はふと母の親佐を思った。葉子が木部との恋に深入りして行った時、それを見守っていた時の親佐を思った。親佐のその心を思った。自分の番が来た……その心持ちはたまらないものだった。と、突然定子の姿が何よりもなつかしいものとなって胸に逼って来た。葉子は自分にもその突然の連想の経路はわからなかった。突然もあまりに突然――しかし葉子に逼るその心持ちは、さらに葉子を畳に突っ伏して泣かせるほど強いものだった。

玄関から人のはいって来る気配がした。葉子はすぐそれが倉地である事を感じた。葉子は倉地と思っただけで、不思議な憎悪を感じながらその動静に耳をすました。倉地は台所のほうに行って愛子を呼んだようだった。二人の足音が玄関の隣の六畳のほうに行った。そしてしばらく静かだった。と思うと、

「いや」

と小さく退けるようにいう愛子の声が確かに聞こえた。抱きすくめられて、もがきながら放たれた声らしかったが、その声の中には憎悪の影は明らかに薄かった。