Japanische Klassiker mit Furigana
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あるおんな
或る女
有島 武郎
Lesen Sie 或る女 (あるおんな) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.655 Zeichen · 406 Bildschirme
「そうだおれもそう思う事があるて……。落ち目になったら最後、人間は浮き上がるがめんどうになる。船でもが浸水し始めたら埒はあかんからな。……したが、おれはまだもう一反り反ってみてくれる。死んだ気になって、やれん事は一つもないからな」
「ほんとうですわ」
そういった葉子の目はいらいらと輝いて、にらむように倉地を見た。
「正井のやつが来るそうじゃないか」
倉地はまた話題を転ずるようにこういった。葉子がそうだとさえいえば、倉地は割合に平気で受けて「困ったやつに見込まれたものだが、見込まれた以上はしかたがないから、空腹がらないだけの仕向けをしてやるがいい」というに違いない事は、葉子によくわかってはいたけれども、今まで秘密にしていた事をなんとかいわれやしないかとの気づかいのためか、それとも倉地が秘密を持つのならこっちも秘密を持って見せるぞという腹になりたいためか、自分にもはっきりとはわからない衝動に駆られて、何という事なしに、
「いゝえ」
と答えてしまった。
「来ない?……そりゃお前いいかげんじゃろう」
と倉地はたしなめるような調子になった。
「いゝえ」
葉子は頑固にいい張ってそっぽを向いてしまった。