Japanische Klassiker mit Furigana
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あるおんな
或る女
有島 武郎
Lesen Sie 或る女 (あるおんな) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.655 Zeichen · 406 Bildschirme
と言葉をそらした。
「愛さんもうできて?」
と葉子も調子をかえて愛子に遠くからこう尋ね「いゝえまだ少し」と愛子がいうのをしおに葉子はそちらに立った。貞世はひどくつまらなそうな顔をして、机に両肘を持たせたまま、ぼんやりと庭のほうを見やって、三人の挙動などには目もくれないふうだった。垣根添いの木の間からは、種々な色の薔薇の花が夕闇の中にもちらほらと見えていた。葉子はこのごろの貞世はほんとうに変だと思いながら、愛子の縫いかけの布を取り上げて見た。それはまだ半分も縫い上げられてはいなかった。葉子の疳癪はぎりぎり募って来たけれども、しいて心を押ししずめながら、
「これっぽっち……愛子さんどうしたというんだろう。どれねえさんにお貸し、そしてあなたは……貞ちゃんも古藤さんの所に行ってお相手をしておいで……」
「僕は倉地さんにあって来ます」
突然後ろ向きの古藤は畳に片手をついて肩越しに向き返りながらこういった。そして葉子が返事をする暇もなく立ち上がって階子段を降りて行こうとした。葉子はすばやく愛子に目くばせして、下に案内して二人の用を足してやるようにといった。愛子は急いで立って行った。