Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あるおんな

或る女

有島 武郎

Lesen Sie 或る女 (あるおんな) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.655 Zeichen · 406 Bildschirme

Aozora Bunko

そしてそこにぼんやりしたまま突っ立っていた。

いつのまに行ったのか、倉地と古藤とが六畳の間から首を出した。

「お葉さん……ありゃ泣いたためばかりの熱じゃない。早く来てごらん」

倉地のあわてるような声が聞こえた。

それを聞くと葉子は始めて事の真相がわかったように、夢から目ざめたように、急に頭がはっきりして六畳の間に走り込んだ。貞世はひときわ背たけが縮まったように小さく丸まって、座ぶとんに顔を埋めていた。膝をついてそばによって後頸の所にさわってみると、気味の悪いほどの熱が葉子の手に伝わって来た。

その瞬間に葉子の心はでんぐり返しを打った。いとしい貞世につらく当たったら、そしてもし貞世がそのために命を落とすような事でもあったら、倉地を大丈夫つかむ事ができると何がなしに思い込んで、しかもそれを実行した迷信とも妄想ともたとえようのない、狂気じみた結願がなんの苦もなくばらばらにくずれてしまって、その跡にはどうかして貞世を活かしたいという素直な涙ぐましい願いばかりがしみじみと働いていた。自分の愛するものが死ぬか活きるかの境目に来たと思うと、生への執着と死への恐怖とが、今まで想像も及ばなかった強さでひしひしと感ぜられた。