Japanische Klassiker mit Furigana
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あるおんな
或る女
有島 武郎
Lesen Sie 或る女 (あるおんな) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.655 Zeichen · 406 Bildschirme
そのために少しなごんでいた下腹部の痛みが一時に押し寄せて来た。葉子は思わず気を失いそうになって声をあげながら、足を縮めてしまった。けれども一生懸命だった。もう死んだあとにはなんにも残しておきたくない。なんにもいわないで死のう。そういう気持ちばかりが激しく働いていた。
「焼いて」
悶絶するような苦しみの中から、葉子はただ一言これだけを夢中になって叫んだ。つやは医員に促されているらしかったが、やがて一台の蝋燭を葉子の身近に運んで来て、葉子の見ている前でそれを焼き始めた。めらめらと紫色の焔が立ち上がるのを葉子は確かに見た。
それを見ると葉子は心からがっかりしてしまった。これで自分の一生はなんにもなくなったと思った。もういい……誤解されたままで、女王は今死んで行く……そう思うとさすがに一抹の哀愁がしみじみと胸をこそいで通った。葉子は涙を感じた。しかし涙は流れて出ないで、目の中が火のように熱くなったばかりだった。
またもひどい疼痛が襲い始めた、葉子は神の締め木にかけられて、自分のからだが見る見るやせて行くのを自分ながら感じた。人々が薄気味わるげに見守っているのにも気がついた。