Japanische Klassiker mit Furigana
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あるおんな
或る女
有島 武郎
Lesen Sie 或る女 (あるおんな) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.655 Zeichen · 406 Bildschirme
襟の合わせ目をピンで留めながら葉子が着がえを終えて座につくのを見て、女将はうれしそうにもみ手をしながら、
「これであすこに大丈夫着いてくださりさえすればわたしは重荷が一つ降りると申すものです。しかしこれからがあなたは御大抵じゃこざいませんね。あちらの奥様の事など思いますと、どちらにどうお仕向けをしていいやらわたしにはわからなくなります。あなたのお心持ちもわたしは身にしみてお察し申しますが、どこから見ても批点の打ちどころのない奥様のお身の上もわたしには御不憫で涙がこぼれてしまうんでございますよ。でね、これからの事についちゃわたしはこう決めました。なんでもできます事ならと申し上げたいんでございますけれども、わたしには心底をお打ち明け申しました所、どちら様にも義理が立ちませんから、薄情でもきょうかぎりこのお話には手をひかせていただきます。……どうか悪くお取りになりませんようにね……どうもわたしはこんなでいながら甲斐性がございませんで……」
そういいながら女将は口をきった時のうれしげな様子にも似ず、襦袢の袖を引き出すひまもなく目に涙をいっぱいためてしまっていた。