Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あるおんな
或る女
有島 武郎
Lesen Sie 或る女 (あるおんな) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.655 Zeichen · 406 Bildschirme
朝から何事も忘れたように快かった葉子の気持ちはこの電話一つのために妙にこじれてしまった。東京に帰れば今度こそはなかなか容易ならざる反抗が待ちうけているとは十二分に覚悟して、その備えをしておいたつもりではいたけれども、古藤の口うらから考えてみると面とぶつかった実際は空想していたよりも重大であるのを思わずにはいられなかった。葉子は電話室を出るとけさ始めて顔を合わした内儀に帳場格子の中から挨拶されて、部屋にも伺いに来ないでなれなれしく言葉をかけるその仕打ちにまで不快を感じながら、匆々三階に引き上げた。
それからはもうほんとうになんにもする事がなかった。ただ倉地の帰って来るのばかりがいらいらするほど待ちに待たれた。品川台場沖あたりで打ち出す祝砲がかすかに腹にこたえるように響いて、子供らは往来でそのころしきりにはやった南京花火をぱちぱちと鳴らしていた。天気がいいので女中たちははしゃぎきった冗談などを言い言いあらゆる部屋を明け放して、仰山らしくはたきや箒の音を立てた。そしてただ一人この旅館では居残っているらしい葉子の部屋を掃除せずに、いきなり縁側にぞうきんをかけたりした。