Japanische Klassiker mit Furigana
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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme
しかし私は自分の持ち物をそっくり棄ててしまったような術ない寂しさに閉されはじめた。しかし私はその日から父の金箪笥に手をふれることをしなくなった。幸い私のやったことは判らなかったので、私はいつかは父に謝まる時があるだろうと、それきり、あの重い箪笥のそばへも寄らなかった。
私は間もなく、毎時、彼女のやってくる午後三時ごろになると、境内をあちこち歩いたりして、もうあれきり来なくなったのを非常に寂しく感じた。小さくお太鼓に結んだ紅い帯地の模様を、時時、あたまの中で静かに考え出しては、ぼんやり栂の老木の根元にしゃがんで、二時間も三時間も高い頂に登ったり下りたりしている蟻の行列を眺めたりしていた。私はなぜ、彼女にああいう手紙をやって注意したのか、なぜ、あのまま彼女を毎日寺の方へ来させて置かなかったのか。しかし段段考えると、うちのものに見附けられるより私が発見したのはよかったのだ。私はどうにもならないやきもきした感情で永い間、来もしない彼女の姿を門内の長廊下や、堂前の板敷の上に描き出して、白いえくぼのある顔や、盛りあがった坐り工合を想像した。そういうとき、私は一言も話したことのない彼女との間に、ふしぎに心で許し合ったようなもの、お互の弱点をつき交ぜたものが彼女との隔離を非常に親しく考えさせた。