Japanische Klassiker mit Furigana
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せっぷん
接吻
江戸川 乱歩
Lesen Sie 接吻 (せっぷん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.279 Zeichen · 13 Bildschirme
二
そんな風にはっきり考えた訳ではないが、山名宗三の道々の心持を図解すると、まあこういったものであった。
「今日は一つ、奴さん、おどかしてやるかな」
自宅の門前に近づくと、宗三はニヤニヤ独笑いを浮べながら考えた。そこで、抜足差足、ソロリソロリと格子戸を開けて、玄関の障子を開けて、靴を脱ぐのも音のせぬ様に注意しながら、いきなり茶の間の前まで忍び込んだ。
「ここいらで、エヘンと咳ばらいでもするかな。いや待て待て。やつ独りでいる時にはどんな恰好をしているか、一寸すき見をしてやれ」
で、障子の破れから茶の間の中を覗いて見ると、さあ大変、山名宗三、青くなって硬直した。というのは、そこに、いとも不思議な光景が演じられていたからで。
二
想像通り、お花はチャンと長火鉢の前に坐っている。布巾をかけたお膳も出ている。が、肝心のお花は決してクツクツ笑ってはいないのだ。それどころか、世にも真面目な様子で、泣いているのではないかと思う程の緊張ぶりで、一枚の写真を持って、接吻したり、抱きしめたり、それはそれは見ちゃいられないのであった。
さてはと、山名宗三、ギクリと思い当る所があったので、もう胸は早鐘をつく様だ。