Japanische Klassiker mit Furigana
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せっぷん
接吻
江戸川 乱歩
Lesen Sie 接吻 (せっぷん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.279 Zeichen · 13 Bildschirme
三
宗三、体よくお下り頂戴に及んだのか、それも今となっては怪しいものなのである。
それに、もう一つおかしいのは、お花の奴、しげしげと村山家を訪れる一件だ。まだ一月にしかならぬに、宗三が知っている丈でも、四五へんは行っている。時には夜に入って帰ったこともある位だ。
色々と考えるに従って、もうもう癪で癪で、宗三は胸がはち切れ相だ。彼が又大のやきもち焼きと来ているので。が、まずさあらぬ体で夕食を済ませると、いつものように常談口を利き合うでもなく、そうかといって、写真の正体を極めぬ間は、書斎にとじ籠る訳にも行かず、双方妙に気拙く睨み合いといった形。
「それは一体誰の写真だ」
と度々咽喉まで込み上げて来るのを、やっと噛み殺して、宗三はじっとお花の挙動を監視している。やきもち焼き丈になかなか陰険な方で、彼の積りでは、床へつく時には、きっとあの写真を何処かへしまうだろう。それを見極めて置いてあとから探し出してやろうという気だ。
三
やがて、お花はだんまりで立上ると、こそこそと、どこかへ出て行った。はばかりとは方角が違う。どうやら納戸らしい。宗三自身は見る影もない腰弁だけれど、家丈けは、親父が御家人だったので、古いが手広な納戸なんていうものもある。