Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.841 Zeichen · 376 Bildschirme
旧閣瓦解
「何事じゃ……藤吉郎」
「はッ。……おつぎの隅にまだもう一名、たれかいるようですが」
「心配なものではない。蘭丸じゃ、少年じゃ、さしつかえあるまい」
「さしつかえます。恐れ入りますが」
「いけないのか」
「はい」
「――蘭丸、そちも退れ」
ふり向いて、つぎへいうと、そこから黙然と礼儀をして、蘭丸は立って行った。
「もう、よかろう。……何か」
「実は、ただいまお暇をいただいて、麓までもどりますと、はからずも天蔵に出あいました」
「なに、渡辺天蔵が立ち帰ってまいったか」
「昼夜もわかたず、山越えで来たと申しまする。――そして、信玄の死は、うごかぬ事実とのことでした」
「……やはり……そうか」
「細かくは申しあげませんが、甲府の内輪には、さあらぬ表面のかげに、歴然たる憂色がうかがわれる由です。――はや、まちがいのないことと、お認めあってよかろうかと存ぜられます」
「まだ、喪はかたく、外部に秘しておるのだな」
「もちろんです」
「――と、他国は知らんな」
「いまのうちなれば……」
「そうだ、今のうちだ。……天蔵にはかたく口どめしておいたろうな」
「御念には及びません」
「したが、乱波者などには、心のいやしい者もある。