Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.353 Zeichen · 371 Bildschirme
「いや、御主人、実はですな」
一瞬、藤吉郎も、眼を笑いのうちに溶かすと、すこし肩を突き出して云った。
「あなたをお迎えに来たのでござる。主君の命で。――どうですか、山を降りませんか。隠居は老後にでも出来ようではありませんか。それも、凡物なら知らぬこと、あなたのような有為な材が、こんな山中に早くから閑居なさろうとしても、それは世の中がゆるすことではありません。どうせいつかは御仕官になるにきまっている。……とすれば、わが主君、織田信長様をおいて、天下に誰かありましょう。織田家へ随身をおすすめに参ったのでござる。いかがでしょう、もう一度、戦雲の中に立ってみるお気持はありませんか」
半兵衛は、にやにや聞いているのみであった。
笑而不答
という姿である。
藤吉郎が呶々と説く舌先も、こういう相手には甚だ熱意が削がれる。柳に風である。聞いているのかいないのか分らない。
「…………」
彼はしばらく舌を納めて、何とでも半兵衛が云い出すのを素直に待っていた。
そして飽くまで、策なく、虚飾なく、白紙でこの人に対そうと、自分を持していた。
「…………」
そのうちに半兵衛の手からハタハタと軽い風が立てられている。