Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.353 Zeichen · 371 Bildschirme
海のような朝霧の上に、栗原山はまだ黒かった。そのうしろから赫々と日輪の昇ろうとする彩雲がうごいているのである。
「……いや、間違った!」
藤吉郎はつぶやいた。
「得難い人物を得ようとしてわしは来たのだ。得難いのは当然だ。……わしの誠意がまだ足りないのかも知れぬ。大事をなすにこんな小さい度量では」
彼は、くるりと振り向いて、
「桑十。わしはもう一遍、栗原山へ上る。――そちは先へ帰国せい」
いうと、にわかに、道をもどって、朝霧の山裾へさしてどんどん行ってしまった。
彼は今日も山へかかった。いつになく早目に中腹まで上って来た。すると半兵衛の閑居にもう程近い山芝の広やかな沢辺で、
「おや?」
と、彼方から声がした。
半兵衛の妹のおゆうと小熊であった。彼女は草籠を腕にかけて牛へ乗り、小熊は、手綱を曳いていた。
「驚いたなあ、呆れた小父さんだなあ。――もう懲々したろうから、今日は来まいって、先生も仰っしゃっていたのに」
と、小熊はさもさもびっくりしたように眼をみはっていう。
牛の背から下りて、おゆうはいつもと変りなく挨拶したが、小熊は、
「小父さん。今日ばかしは、ほんとによしてくれよ。