Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.353 Zeichen · 371 Bildschirme

Aozora Bunko

谷間を埋めている樹々の闇は、底知れぬ湖のようだった。じいっと、いつまでも、眸をこらして見ていると、その樹々のあいだに、たしかに巨大な石の壁や柵や蔵屋根のような影が、見える気もする。

「ム! ……。ここはもう敵の真上とみえる。よし、一寝入りとしよう。夜の白むまで」

彼を始め十人は、籠手を枕に大地へ寝た。茂助は、もう水のない瓢を、手拭で巻いて、藤吉郎の枕にと、そっと主人の頭の下へ当てがった。

一刻も寝たろうか。

その間、茂助だけは一人眠らずに、少し離れた所に突っ立っていた。

「オオ……」

その茂助が、声を放ったので、藤吉郎はすぐ首をもたげて、

「なんだ、茂助」

茂助は、東を指さして、

「太陽が昇るところです」

と、答えた。

いわれてみると、夜は白みかけている。この山頂のほかは、すべて雲の海の渺々であった。すぐ真下だという稲葉山城の裏谷さえ何も見えない。

「明けた」

「夜が明けた」

呼び合いながら、蜂須賀彦右衛門も起きる。弟の又十郎も起きる、稲田大炊も起きる、梶田隼人、長井半之丞らも起きあがる。

「さッ、打ち入りましょう」

はや武者ぶるいして、具足の緒や足ごしらえなど直しにかかると、