Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.353 Zeichen · 371 Bildschirme
「しかし、今度は考えましたゆえ、もう鬱々と、毎日無益な悶えに送るのはやめます」
「仕官がいやになったら、いつでも称念寺へ帰っておいでなさい。寺子屋の子供たちは、いつでもあなたを、お師匠さんとして欣んで迎えよう」
光秀も、この日は、心が寛々とした気がした。朝倉家の内紛の中に身を置いて、内紛の醜さに気をくさらしているのは、わざわざ糞土の中へ行って糞土を罵っているのと同じ愚であると知った。それに反して、貧しい寺子屋の師匠が、いかにきれいな尊い境遇であるかをも、沁々知った。
夜は、島へ上がって、御島神社の神官治部大輔の社家に泊った。その晩、園阿と治部大輔と三人して、百韻の連歌を試みたが、その席で、光秀がきょう舟中の作というのを、そっと園阿に示した。
潮越の根あがり松といふを見て、
わが身にあたる風もかくやと、
みち潮の
こしてや洗ふ
あらがねの
土もあらはに
根上りの松
「なるほど」
園阿はうなずいたが、是とも非ともいわない。光秀は、和歌もよむし、連歌もするが、詩僧の彼から見ては、「武人にしては――」という程度で、そう秀歌と称えるほどの作もなかった。
園阿を伴って、彼はまた、山代温泉の客舎へもどった。