Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.353 Zeichen · 371 Bildschirme
藤吉郎は、顔を解いて、
「いや、ぼんやりしていたまでのことよ。時々ぼんやりするも、薬かと思うてな」
と、笑った。
「余りにお忙しいので、傍目にも、お体が案じられまする」
「いや、忙しいから、健康なのだ。病気する遑もない」
「わたくしよりは御老母様が、稀れには、奥へ渡らせて、表の御用から離れるがよいと、お喞ち遊ばしていらっしゃいます」
「そうそう。母上にも、凱旋の日、お顔を拝したのみで、不沙汰申しあげていたの」
「侍の家庭とは、淋しいものよ。母と子でさえ、一年のうち、幾日朝夕を共にすることがあろうぞ、などとお留守中も、時折、仰っしゃっていらっしゃいました」
「……そうか」
と、藤吉郎もやや淋しげに、
「孝行はむずかしいのう。……そのうちにまたすぐ、岐阜のお召しが参ろう。こうしているのも束の間、どれ、きょうは一日、母上の側で遊ぼうか」
「わたくしからもお願いいたしまする」
と、寧子は、良人の気を迎えて、にこやかに誘いながら、
「それと、先頃、御郷里の中村から、御親類のおえつさまというお方が、幼い者をつれて、御老母様を頼ってお越しなされておりまする」
「中村のおえつと?」