Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.353 Zeichen · 371 Bildschirme
「正月だなあ。どうだ、帰るお城があるというのは、何といいものじゃないか」
部下の足軽たちへそう話しかけながら行く彼のその顔は――しかし、初日の出よりらんらんと元気であった。
寧子は良人の長い留守のあいだに、養父浅野又右衛門の家から、良人の家、桐畑の小さい屋敷のほうへ、すべての荷物と共に、引き移っていた。
これは初めから談合の上のことであった。
聟入りという形で婚儀は挙げたが、藤吉郎の一身は、浅野家を継ぐには事情がゆるさない。いずれ中村の母や家族も迎え取らねばならぬ総領である。寧子も長女ではあるが、下には妹のおや屋もいることだし――というような話から、新夫婦は舅姑の許を離れて、べつに住むようになったのである。
だが、おや屋は姉のそばを離れ難なに、年暮から桐畑のほうへ遊びに来ていた。寧子が急に人妻らしい変りようをしているのに、おや屋は相変らず鞠ばかりついてよく唄っていた。
花のつゆほど
なれそめて
富士の雲ほど
立つ名やの
鞠は時々、垣より高く弾む。元日の霜はうららかに溶け始めていた。
花にあらしも
吹かば吹け
君のこころの
よそへ散らずば――
「や屋さん」
垣の内の水屋で姉の声だった。