Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.320 Zeichen · 398 Bildschirme
天正七年の五月である。
「今でしょう、八上を叩くのは」
これは、秀吉からの献議だと聞えている。両面作戦とはいえ、その機動は、たえず一つに活流している。播州方面の手は今なら移動できるという秀吉の保証によって、
「一挙に、八上を陥せ」
とある信長の総攻撃の令は発しられたのである。すなわち光秀の本軍は山城方面から、秀吉の弟秀長の軍勢は但馬方面から、また丹羽五郎左衛門の一手は摂津口からと、三方面から競進の勢いで波多野の牙城八上へ迫った。
羽柴秀長、丹羽五郎左衛門、この二将にひきいられた各大隊は着々、その担当地域に戦果をあげて、敵性の砦や城地を、席巻して行った。
――が、光秀の前面は、ある程度で停頓を見てしまった。しかしそれは主隊として、ここで彼が絶対に粉砕して見せなければならない――敵の牙城八上との対峙であった。
「明智勢の面目にかけて陥せ」
光秀の指揮は、いつになく、実に激越を極めた。
「――あらゆる犠牲をはらうとも」
と、部下の将士に、夜も夜討を朝にも朝討を、敵に息つく間も与えないほど、味方をも猛烈に督した。
けれど、八上城は陥ちない。――そのあいだには、羽柴軍や丹羽軍の赫々たる戦功が両方面から聞えてくるのである。