Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.758 Zeichen · 383 Bildschirme
駄農
そのとき、光秀は下へも措かずわしをもてなし、またしきりに、従兄弟の光春をも会わせたがって、何度も、左馬介を呼びにやったらしいが、ついに出て来なかった。――その帰りがけじゃ。わしが湖畔の道へかかると、松原の中で、茜の陣羽織を着た男が、余念なく、馬の稽古を励んでおる。この方の行列にさえ一顧もくれず馬ばかり飛ばしているのだ。――あとで聞くと、それが左馬介光春であったそうな。その時分から、わしもひそかに骨のある男と見ていたが、果たして今日、その真価を天下に示した。……もしこの男が、わしの麾下であったらと真実思う。しかしこう惜しまるるもまた人の華だが」
駄農
秀吉は三井寺に宿陣していた。十四日の夜はまたも大雷雨であった。坂本城の余燼は消え、墨の如き湖や四明ヶ嶽の上を、夜もすがら青白い稲光が閃めきぬいた。
もし、地上の現実を超えて、人の感情や幻想をも、歴史の影として書くことができるならば、この夜の凄い黒雲の中には、明智一党の軍馬がなお轡の音や喊の声を止めず、また本能寺方面にもただならぬ武者声が聞かれたであろう。そして叡山の根本中堂あたりには、かつてこの峰々で焼き殺された無数の僧侶、碩学、稚児、雑人たちの阿鼻叫喚もたしかに聞え、或いは哭き、或いは笑い、或いは闘い、それが電光と雷鳴をなしていたといっても、あながち過言では