Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.903 Zeichen · 400 Bildschirme
光秀のは、後者の場合に陥りやすかった。
「…………」
ふと彼は、信長が名づけたところのその「きんか頭」を重そうに上げていた。前庭の闇を正視した。樹林のあいだに遠く見える幾つもの灯――それを見つめていた。
思うらく。安土の城中はいま饗宴第一夜の歓語談笑に華やいでいる頃であろう。主賓の徳川殿以下、浜松の家臣と、安土衆の面々とが、綺羅星といながれている様も思いやらるる。饗応奉行には、自分のほかに、二、三名も任命されていることゆえ、こよいの宴に事欠くことはなかったにちがいない。――多少、料理や膳具に模様がえはあったとしても。
「このまま御命令どおり、安土を立つべきか。また、もう一度、お城へ伺候して、御挨拶をのべた後立ち去るべきがほんとか」
光秀はさっきからそんな些事に迷っていたのだった。事務に過ちないことにも思案のかかるほど彼の明晰なあたまもこよいは少し労れていた。
些末な事務が、重大な問題に考えられ、その判断を追えば追うほど、いずれにしたらよいのか分らなくなった。――それは彼が彼の性格をもって、信長の気心をつきとめようと焦っているところに起因しているのである。