Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.903 Zeichen · 400 Bildschirme

Aozora Bunko

正坐してじっと湖を見ていた。

「いかがでしょう。およろしければ、あちらの茶室で、ともあれ、一ぷくさしあげたいとぞんじますが」

光春が、そのために、これへ迎えに来た意を告げると、光秀は夢からさめたような面持を向けて、

「茶か」

と、つぶやいた。光春はいささか得意そうに、

「ちか頃、京の与次郎へたのんでおいた一作がようやく出来て参りました。蘆屋のような典雅な地紋などありませぬが、よい具足を見るようなあらあらとした味のもの。釜の新しきは悪しといいますが、さすがに与次郎、湯味も天妙の古きものにも劣りませぬ。殿がお越しのせつはぜひそれでと心がけていた際、今暁、突然安土から御帰国とのお報らせに、さっそく炉に火を入れてお待ちしていたようなわけで」

「いや、せっかくだが、茶も欲しくない」

「では、お風呂のあとにでも」

「風呂もやめておこう。ともあれ、左馬、一睡させてくれ、慾はない」

つねづね聞き及んでいることも多々ある。光秀の心事を解するに全く晦い左馬介光春でもなかった。

殊にこんどの唐突な帰国については、彼も解せぬものを抱いていた。信長公が安土の城に大賓として迎えた家康の饗応に、その数日のあいだの接待役として惟任日向守光秀が任ぜられたことは、世間にかくれなく沙汰されたところである。