Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.903 Zeichen · 400 Bildschirme
ところで、その左馬介光春は、始終を聞き終るとともに、少しも変る色なき面のまま、静かにひとつ頷いて、
「では、殿の御帰国は、なんら、これという理由もなき御罷免のためであったか。……いや、それを聞いて大きに安心した。右大臣家の御気色による首尾不首尾は他家たりともありがちのこと。まずよかった、よかった」
と、むしろ慶賀するような口吻をもって答えた。
三名はさっと眉色を変えた。わけて伝五は唇のあたりの筋をひっ吊るように顫わせて、つとその膝へつめ寄った。
「まず、よかったとは。――心得ぬ仰せ。左馬介様。それは、一体、いかなる意味を御意あそばすか」
「繰り返すまでもあるまい。わが殿の落度に非ずして、信長公の御気色悪しきためならば、また御機嫌のよい折に、御不興を取りもどすこともできよう」
「そ、それでは……」
と、伝五は、いよいよ早口となって、
「あなた様には、わが殿をもって、ひたすら信長公の御機嫌を取りむすぶお伽芸人の輩と同視しておいでられますか。明智日向守様ともある武門を、それでよいとお考え遊ばすのか。何ら、御無念とも、恥辱とも、またかくて自滅の淵へ追いやらるるとも、お感じになりませぬか」