Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.903 Zeichen · 400 Bildschirme
「伝五。そちのこめかみの青筋は、ちと太り過ぎておるぞ。気を落着けい」
「昨夜も一昨夜も、一睡もしておりませぬ。あなた様のごとく、冷然とはあり得ない。非道、嘲笑、恥辱、忍耐、あらゆる無念の沸り立つ油釜の中に煮られておる明智主従です」
「……だからいうのだ。まず胸をなでて、二夜三夜は熟睡してみたがよい」
「ば、ばかな仰せを」
かりそめにも主君の従兄弟たるお方ぞと戒めながらも、藤田伝五はついに喰ってかかった。
「ひとたび泥塗られた武門の恥は拭い難しというのに、わが殿も家中も、あの安土のじゃじゃ馬殿のために、何遍、それを怺えて来たことか。きょうも衆人環視の中でかくありしと、涙を抑えて語らるる殿光秀さまを取り囲み、主従なだめ合うては、泣き明かした夜も幾夜かござる。――ましてこの度は、ただ単に、饗応役をお奪り上げになられたのみならず、すぐそのあとの命令では、――本国へ立ち帰って出陣の準備をなせ、中国にある秀吉を側面から援けるふくみをもって、毛利の分国たる山陰諸国へさっそくに攻めかかれ。と、まるでわれら明智の一勢を、猪鹿を追う勢子か猟犬のように見ての陣沙汰。どうしてこの気持のまま戦場へ赴かれるものぞ。