Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.903 Zeichen · 400 Bildschirme

Aozora Bunko

老齢に似もやらず、非常によく透る音声の持主である。そして白い眉もその唇もとも、屈托なくたえず微笑をたたえている。

それにひきかえて光秀は少なからず狼狽の容子であった。この明るい老人の眉には、眩しいような眼をさまよわせて、その答えも平常の彼とも思えないほど紊れていた。

「や。どなたかと存じたら……曲直瀬殿か。なんの光秀とて、徒然の日もおざる。数日来、坂本の城に滞在中とて、山でも少し渉りあるいたら、梅雨じめりの鬱気も少し散じようかと思うて」

「稀に、大岳を踏んで、自然に接し、気を洗うのは、何よりの心養、またおからだの薬です。……お見うけするところ、ひと頃よりは、心身ともおつかれの体に見うけられる。病のため、お暇を乞うて、御帰国の途中でもあらせらるるか」

針のように眼を細めていう。なぜかこの眼の前には欺けないものを感じさせられる。曲直瀬道三、名は正盛、字は一渓。当代かくれのない名医であった。

足利義輝がまだ室町将軍として健在であった頃から、すでに医として、道三の名は洛内に高く、その寵遇もうすくなかった。管領の細川も松永弾正も三好修理も、みな彼の手にかかっていたものだし、わけて禁中の御信任もあつく、余暇を施薬院の業に尽し、また後輩のために学舎を設け、高齢七十余歳というになお少しも倦むところがない。