Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.903 Zeichen · 400 Bildschirme
と、いわゆる膝詰に、宗治の本音を押してみた。
「腹蔵なくと仰せあるか」
宗治は、呟くように、そういってから、眼を、ひたと二人へ等分に向けた。
「さらば、聞いて戴きますかな。それがしが望みというは、せっかく人として生れ、人の生涯の終りにも近づきおれば、この期にあたって、人たるの道を踏み外したくない、という一義に極まりまする。わが毛利家といえども、一天の下、蒼生の一藩、あなた方の御盟主たる右府様にも、禁門へたいし奉る臣情においては、優るとも劣るものにはございませぬ。不肖宗治は、その毛利家に属し、碌々為すなき身を、多年七千石の高禄をたまわり、一族みな恩養にあずかって、今日この変にあたり、国境の守りを命ぜられたこと、ひとえに主家の御信任によるところと、この日頃、生きがいありと、朝夕たのしく暮しておるところでござる。――さるをいま、小利に眼をくれて、羽柴どののお扱いをうけ、右府様の麾下に参って、二ヵ国の領主に坐ろうとも、所詮所詮、近頃のような心楽しき日が送れようとは思われぬ。ましてや、信義に背き、主家を売り、何のかんばせあって、宗治、天下の士民に面を向けられましょうか。