Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.903 Zeichen · 400 Bildschirme

Aozora Bunko

お気を慥とお持ちあそばせ。お気をたしかに」

誰かに、うしろから抱き支えられて、彼はそのとき、それを聞くとともに、よろめきかけていたことを自分の身に知った。

同時にその喪心を強く反撥していたのも彼自身だった。

(信長の子だ、織田信長の子ではないか。三位中将信忠ともあるものが、女々しく哭いているときではない)

しかしまた、彼方の空の黒煙と火を見ると、彼の脳裡も狂気せんばかり燃え熾った。あの煙の下、あの火の下に、なお父やある。父や亡きかと。

あたりの土塀や梢やまた路面などへ、もう敵から撃って来る小銃弾や矢が異様な物音をあげ始めている。彼を囲む諸将は、楯となって、信忠を守りながら、

「このうえは早、ぜひもありませぬ。血路を斬りひらいて安土へお急ぎあるこそ、万全の策と思われます。安土へだにお入りあれば、あとの手段は如何ようともつきましょう程に」

と、口々にすすめた。

まだうしろから支えている一武将の手を、信忠は腹立たしげに振り払って云った。

「父の生死もたしかめ参らせずに、子としてここを一歩でも去れようか。――しかもかくばかり謀った明智が、むざと信忠を通そうはずもない。