Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.903 Zeichen · 400 Bildschirme
――さてはと、すぐそのひとの危篤か死去に聯想したのであったが、やがて涙をぬぐって、秀吉が襟を正した容子を仰ぐと、悲痛な色のうちにも甚だしい厳粛な気と怒りをふくんでいる。その烈しい憤怒、きびしい涙は、母子の悲情に打たれたものでは到底ない。
「……秀吉。ことばをもっていま告げる力もない。久太郎どのにも、正勝も、長政も、これへ寄って見られい」
なお彼は、面をそむけて、しばしば肱を曲げては哭いた。
三名とも霹靂に打たれたような面である。――久太郎秀政も、彦右衛門正勝も、弥兵衛長政も、茫然、自失しないばかりに。
信長の死。信忠の戦死。
いまのいままで、考えられもしなかったことが、儼として事実を示し、早打状は、目に見るごとく、昨二日朝の本能寺の実状を急報している。
――あり得ることか。世の中とはかくも不測なものなのか。一瞬は驚く心すら痺れて、涙も出なければ、声も出ない。
わけて秀政は、ここへ来る直前に、信長とは、親しく会いもし、何かと直接に、指命もうけて来たのであるから、ほとんど、信じられないように、幾度も幾度もその飛脚文を見まもっていた。
その秀政も涙にくれ、彦右衛門も落涙して、ここの一燈は、涙に掻き消えるかと思われるばかり暗澹な夜色に沈みきってしまおうとした。