Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.903 Zeichen · 400 Bildschirme
彼はひとりこの夜誓った。いたずらなる嘆きをいわなかった。それをいうならば、痛涙に身をただよわし、慟哭に血を吐いても、なお足らない。思うはただ死せる信長が、死の直前に、何を自分に遺命されたか――ということのみである。
あきらかに、彼は主君の無念を知ることができた。日頃の主君に徴しても、いかにここまでの統業を半途にして世を去ることの残念であったかをも、惻々胸に酌むことが出来た。
――それを思うとき秀吉はたとえ寸分たりと嘆いてなどいられなかった。後図をいかにすべきやなど考えているいとまもなかった。身は中国にあるが、勃然、心はすでに敵明智光秀へ向き直っていた。
そして。
眼前の敵、高松城をいかに処理するか。毛利の大軍三万余をどう捌くか。なおまたその大敵と四つに組んでいるかたちにあるこの陣地から、どうして一刻も早く上方への転進を策すか。かつ、光秀を打ち破るかなどの――考えれば、山また山の如く横たわっている幾多の難問題に対しても、秀吉は今、もそもそと坐り直したときに、
(深く考えるにも及ばぬ。天機は寸秒の間にもうごく。何よりはすぐ行動だ。着々、実行あるのみ。