Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.903 Zeichen · 400 Bildschirme
――この儀は、大事中の大事であるぞ。いそげ。念を入れて」
秀吉は半眼のまま、一息にこういいつけ終った。
浅野弥兵衛はすぐ出て行った。あとには、堀秀政と、歌人の幽古だけが残った。
「幽古。何刻だな? いまは」
「亥の下刻(午後十一時)とも相成りましょうか」
「きょうは、三日だったな」
「左様でございまする」
「あすは四日か」
ひとり呟いて、
「四日。五日」
ふたたび睫毛を半眼にふさいで、何か数うるごとく膝のうえで指をうごかしていた。
「久太郎」
「はッ」
つい先刻までは、久太郎殿といい、秀政殿と敬称していたが、このときから秀吉は無意識か意識してか、呼び捨てにしていた。
秀政もそれに対して、何の感情をさし挿む余裕もなかった。むしろこうして見ている間にも、その人間が一変してゆくかのように思われる秀吉の威圧にたいしては、みずからも手をつかえて答えざるを得ないような感じすら受けていた。
「――秀政とて、こうしてはおられませぬ。何がな、お指図くだされたい」
「いや、もうしばし、ここにいて欲しい」
と、秀吉は彼の焦躁をなだめてから、
「やがて、官兵衛孝高も見ゆるであろう。――そのいとまに、飛脚の処置、どういたしたかちと心がかり、彦右衛門が参っておるが、念のため見て来てくれぬか」