Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.903 Zeichen · 400 Bildschirme

Aozora Bunko

「承知しました」

秀政は起ってすぐ寺の大台所へ行ってみた。

飛脚の男は、厨のすぐそばの小部屋で、がつがつと湯漬飯を掻っ込んでいた。

きのうの午頃から、飲まず食わずだったこの男は、腹いっぱい食べ終ると、

「ああ」

と、独り胃を伸ばしていた。

すんだのを見て、

「飛脚。こちらへ来い」

彦右衛門が手招きして、庫裡の一室へ連れて行った。塗籠の経蔵である。ゆっくり寝むがよいと宥って、男を中へ導くと、彦右衛門は外から錠を卸してしまった。

久太郎秀政は、そのときそっと側へ来て、彦右衛門の耳へささやいた。

「万一、お味方の中たりと、京都の変が漏れてはと、あちらでお案じの態だ。いっそいまの飛脚は……」

と、殺意を目にあらわすと、なぜか彦右衛門はかぶりを振った。そして、そこから、数歩を移してから、

「あのままでも、おそらく死ぬ。食っては堪らない。他愛なく死ぬものですよ」

と、云い足して、経蔵の方を片手で拝んだ。