Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.903 Zeichen · 400 Bildschirme
……お座所は、こちらでいらっしゃいますか」
幕の外から弥九郎の声がする。堺ことばの軽快な語尾と商人らしい気ばたらきが、みじかい辞の中にも鮮明に働いている。
「お久しゅうございました」
はるか下に手をつかえたときは、さすがに能う限り身を低め、額も地につかぬばかり平伏した。
秀吉は、見て。――近習の輩へいった。
「しばらくそち達は、退っておれ」
ここを起つのは何か不安なように、弥九郎の姿へ警戒の眼をそそいでゆく侍臣もあった。けれど間もなくこの幕のうちは、秀吉とこの若い一商人とふたりきりになっていた。
「寄れ。もそっと」
「おそれ入ります」
「弥九郎」
「はい」
「この辺へ何しに来ていたか」
「商用で参りました」
「薬は売れるか」
「宇喜多様にも、黒田様にも、諸所の御陣中で、大量にお買上げをいただいておりますゆえ、このたびは店の者どもも総出でこちらに出向いておりまする」
「来たらなぜ筑前の所へも、稀には顔を見せぬか」
「御陣務のおさまたげと存じまして。――けれど、御家臣衆のそれぞれの御陣所へは、欠かさずに御用を伺いながら廻っておりますので」
「そうか」
と、間をおいてから、秀吉はまたいった。